Googleアナリティクスは、Webサイトを分析する際に役立つ無料ツールです。「Webサイトを作成したけど、本当に効果が出ているのか分からない」と悩んでいる場合は、Googleアナリティクスを活用してみましょう。
本記事では、Googleアナリティクスの効果的な使い方を紹介します。Googleアナリティクスの活用方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
Googleアナリティクス(GA4)の基礎知識
Googleアナリティクスは、公開したWebサイトのデータを解析するために役立つツールです。Webサイトは公開して終わり、ではなく継続的にデータを分析し、高い成果を得るための施策を考える必要があります。
Googleアナリティクスでは、ユーザーの特徴や行動、属性といった情報の収集・解析が可能です。GA4では機械学習による自動解析機能などが追加され、より使いやすくなりました。
本章では、Googleアナリティクスの基礎知識について詳しく解説します。
Googleアナリティクスとは何か?その役割と機能
Googleアナリティクスは、無料でWebサイトのアクセスを解析できるツールです。例えば「ユーザーから人気を集めているページ」「Webサイトを訪れたユーザーの特徴」などを把握できます。無料で使用できるのに加え、高い精度で分析を行えることから多くの企業で導入されるようになりました。
Webサイトの解析によってユーザーの属性や行動が分かれば、ターゲット層が明確になり、打つべきマーケティング施策を検討しやすくなります。そのため、GoogleアナリティクスはWebマーケティングにおいて重要な役割を果たすツールといえるでしょう。
GA4とユニバーサルアナリティクス(UA)の違い
2023年より、Googleアナリティクスはユニバーサルアナリティクス(UA)からGA4へ完全に移行しました。両者の違いとして挙げられるのが分析軸です。ページごとにデータ解析を行うUAに対し、GA4はユーザーに重点を置いています。
例えば、アプリとWebサイトを連携してデータを計測できるのがGA4の特徴です。「タブレットのアプリで商品を見つけ、スマホのWebサイトから商品を購入する」といったようにユーザーが異なる端末を使ったとしても同一のユーザーとみなしてデータを計測できます。
GA4は、機械学習によって過去の情報から未来の予測を立てることも可能です。収集した情報を自動で解析し「離脱しやすいユーザー」や「購入の意識が高いユーザー」などをリスト化してくれます。
また、UAではイベントのタグを個別に設定する必要がありましたが、GA4では自動計測が可能です。設定の必要がなくなった分、作業負担が減るでしょう。
Googleアナリティクスを使うメリット・デメリット
主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
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Googleアナリティクスのメリットは、性能の高い機能を無料で使えることです。ユーザーの構造や属性などの情報を収集・計測できるため、マーケティング施策に役立てられます。
また、多くの企業で使用されていることから、使い方や活用方法などの情報をインターネット上で簡単に手に入れられるのも嬉しいポイント。さらに、Google広告などの他ツールと連携することもでき、活用範囲が広い点も高い評価を受けています。
デメリットとしては、設定方法が難しいところが挙げられるでしょう。機能を理解したうえで利用する必要があるため、初心者だと難しくて使いこなせない可能性があります。また、データ収集の数には上限が設けられており、より多くのデータを収集したい場合は有料版に登録する必要がある点にも注意してください。
Googleアナリティクスの導入・初期設定方法
Googleアナリティクスを使うには、Googleアカウントを作成したうえでアナリティクスに登録する必要があります。登録後、トラッキングコードをWebサイトに設置し、正常に動作しているか確認できたら設定の完了です。
Googleアカウントの作成とアナリティクスへの登録
まず「Googleアカウント」にアクセスし、アカウントを作成します。すでにアカウントを持っている場合は、ログインをしましょう。
次に「Googleアナリティクス」へアクセス後、「さっそく始める」で次のページに推移し「測定を開始」を選択します。
アカウントの作成画面でアカウント名を入力し、データ共有設定のチェックボックスを任意で選択した後に「次へ」をクリックしてください。
プロパティ名称は、ブランド名などを入れるのが一般的です。タイムゾーンや通貨は日本を選びましょう。
業種や規模を選択し、次に進みます。
最も近い目標を選択し「作成」をクリックします。利用規約が表示されるため「同意」を選択してください。
データを収集したいプラットフォームを選択します。
WebサイトのURLとストリーム名を入力し、右上の「作成して実行」をクリックします。
トラッキングコードの設置と設定の確認
データストリームを作成すると、トラッキングコードが表示されます。トラッキングコードをコピーし、Webサイトページのコード(<head> 要素の直後)に貼り付けてください。
正常に動作しているか確認する際は、対象のWebサイトにアクセスした状態でGoogleアナリティクスのメニューから「レポート」→「リアルタイムの概要」を選択します。表示された数値が1以上であれば正常に動作しているサインです。
重要な初期設定
次に、重要性の高い初期設定(データ保持期間・コンバージョン・内部トラフィックの除外など)を行います。具体的な設定方法は、以下のとおりです。
データ保持期間の設定
初期設定において、データ保持期間は2ヶ月になっています。できるだけ長期間データを持っていた方が解析に役立てられるため、最長の14ヶ月に変更しましょう。
左下の設定(歯車マーク)→「データの収集と修正」→「データの保持」の順番で選択します。「イベントデータ」の「データの保持」を14ヶ月に変更後、「保存」をクリックしてください。
コンバージョンの設定
商品の購入や資料請求など、Webサイトの成果を測定するためにはコンバージョンを設定する必要があります。設定しておかないと、どのような成果をあげているのか確認できないため注意しましょう。
左下の設定(歯車マーク)→「データの表示」→「イベント」の順番で選択し、「イベントを作成」をクリックします。
右上の「作成」をクリックします。
イベント名やパラメーターなどを設定してください。今回は「お問い合わせ」のコンバージョンを設定する場合の事例を紹介します。
パラメーター | 演算子 | 値 |
event_name | 次と等しい | page_view |
page_location | 次と等しい | ※「問い合わせ」のページURL |
設定が完了したら「作成」をクリックします。
次に、作成したイベントをコンバージョンに設定します。現在、アナリティクスのコンバージョンは「キーイベント」という表示に変更されているため、間違えないようにしましょう。「設定(歯車マーク)」→「データの表示」→「キーイベント」の順番で選択し「新しいキーイベント」をクリックします。
作成したイベントの名前を入力し「保存」をクリックします。
保存したキーイベントが表示されたら、設定の完了です。事前に設定した条件が達成されたら、コンバージョンが記録されます。
内部トラフィックの除外
内部トラフィックの除外とは、自社や関連会社などからのアクセスを除外する設定のことです。設定をしておかないと、収集データに社内のアクセスが混ざり、正しい解析ができなくなる可能性があるため気をつけましょう。
「設定(歯車マーク)」→「データストリーム」を選択し、該当するデータストリームをクリックします。
下部の「タグ設定を行う」を選択します。
「設定」の「もっと見る」をクリックして全項目を表示し「内部トラフィックの定義」を選択します。
「作成」を選択します。
名称やIPアドレスを設定し「条件を追加」を選択します。
続いて、データフィルタと内部トラフィックを関連付けます。「設定(歯車マーク)」→「データフィルタ」から「Internal Traffic」をクリックしてください。
「フィルタの状態」で「有効」を選び「保存」を選択したら完了です。
Googleシグナルの設定
Googleシグナルとは、Googleアカウントにログインしたユーザーのデータを、端末を跨ぎながら収集できる機能です。Googleシグナルを有効にすることで、ユーザーが異なるプラットフォームや端末を使用した場合も正確性の高い行動分析が可能になります。
「設定(歯車マーク)」→「管理」→「データの収集と修正」→「データの収集」を選択します。
「Googleシグナルのデータ収集」で「オンにする」をクリックします。これで、設定は完了です。
Googleサーチコンソールとの連携
より幅広くWebサイトのアクセスを解析するには、Googleサーチコンソールと連携する必要があります。Googleサーチコンソールとは、Google検索結果でのWebサイトの順位を管理・改善するのに活用できる無料ツールのことです。Googleアナリティクスと連携することで、クリックに結びついたクエリやWebサイトのランキングなどの解析が可能になります。
「設定(歯車マーク)」→「サービス間のリンク設定」→「Search Consoleのリンク」を選び「リンク」を選択してください。
「アカウント選択」からサーチコンソールのアカウントを選択した後、該当のウェブストリームを選択しましょう。「送信」をクリックしたら完了です。
Googleアナリティクスの基本的な使い方:データの見方
Googleアナリティクスでは、「ホーム」「レポート」「探索」で詳細なデータを確認・分析できます。この章ではデータの見方を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ホーム画面の見方:主要指標の把握
一番上の「ホーム(家マーク)」には、解析の主要指標が表示されます。各指標の意味は、以下のとおりです。
指標 | 意味 |
アクティブユーザー | Webサイトを訪れたユーザー数 |
イベント数 | Webサイトページの表示回数 |
新規ユーザー数 | 指定期間内での初訪問ユーザー数 |
キーイベント | コンバージョン数 |
指標をカスタマイズしたい場合は、各指標をクリックし、表示させたい指標に変更することもできます。
レポート機能を活用したアクセス状況の分析
メニュー画面の二番目のボタンをクリックすると、レポート機能を活用できます。主な内容は、以下のとおりです。
メニュー | 確認できる内容 |
リアルタイム | 過去30分のユーザー数やコンバージョン数など |
集客 | ユーザーの流入元(SNSや広告など) |
エンゲージメント | Webサイト内でのユーザーの行動(コンバージョン数、イベント数など) |
収益化 | eコマースの売上関連情報 |
維持率 | ユーザーの維持に関連した情報(初回のアクセスから30日間に再アクセスしたユーザーの割合など) |
ユーザー属性 | ユーザーの属性(性別や地域など) |
テクノロジー | ユーザーの環境(OSやデバイスなど) |
上記のレポートは、マーケティング施策を立てる際に活用できます。例えば、「ユーザー属性」の情報からターゲット層を絞ったり、ユーザーの流入元からキャンペーンの効果測定をしたりといった方法で役立てられるでしょう。
探索機能で詳細なデータ分析
メニューの三番目のボタンをクリックすると、探索機能が表示されます。レポート機能より詳細な分析を行いたい場合によいでしょう。
探索機能の特徴は、テンプレートを使ってカスタムレポートを作成できることです。「テンプレートギャラリー」をクリックすると目的に合わせたテンプレートが表示されます。
例えば「自由形式」を選んだ場合、グラフや表でデータを視覚化したり、表を組み替えたりといったことが可能です。「コホートデータ探索」では、属性が共通したユーザーグループのパフォーマンスや行動から分析データを入手できます。目的に合わせてテンプレートを選び、詳細分析に役立てましょう。
Googleアナリティクスで必ず確認すべき指標
Googleアナリティクスでは「ユーザー」「集客」「行動」「コンバージョン」を確認することが大切です。それぞれの指標を確認することで、ユーザーの属性やアクセス経路、目標の達成状況などが明らかになります。
指標のデータをもとにすれば、より効果的なマーケティング施策を検討できるでしょう。この章では、各指標について詳しく解説します。
ユーザー:サイト訪問者の属性や行動を理解する
「ユーザー」では、サイト訪問者の属性を分析できます。「ユーザー属性の詳細」を選択すると、新規ユーザー数やエンゲージメント率、イベント数などを確認でき「どのくらいの新規ユーザーがWebサイトを訪れたか」「エンゲージメントに達する確率はどのくらいか」といった確認が可能です。
集客:アクセス経路を分析し、効果的な集客施策を検討する
「集客」では、ユーザーのアクセス経路を確認できます。SNSや検索エンジンなど、多様な流入経路の比率を確認できるため、どこからユーザーが流入しているのか明らかにできるのが特徴です。例えば「ディスプレイ広告からの流入が多いため、よりディスプレイ広告を強化する」など、効果的な集客施策を検討できるようになります。
サイト内のユーザー行動を分析し、改善点を発見する
「行動では」ページビュー数や直帰率、離脱率、滞在時間など、ユーザー行動に関する情報を確認できます。例えば離脱率の高いページがある場合、ユーザーに有益な情報を届けられていない可能性があります。ページの内容を見直し、離脱率を抑えるための工夫が必要です。このように、サイト内のユーザー行動を分析することでWebサイトに潜む改善点を見つけられます。
コンバージョン:目標達成状況を把握し、ビジネス成果に繋げる
「コンバージョン」では、コンバージョン率や目標到達プロセス、収益データなどを確認できます。問い合わせや商品購入など、事前に掲げた目標達成の状況を把握できるのが特徴です。マーケティング施策を実行した後、コンバージョンに変化があるか確認すれば、施策が成功したか否かも明確になります。コンバージョンの結果を参考に施策の検討と改善を繰り返すことで、ビジネスの成果に繋げられるでしょう。
Googleアナリティクスを活用したアクセス解析事例
この章では、具体的なアクセス解析事例を紹介します。Webサイトの種類に合わせ、適切なアクセス解析を行うための参考にしてください。
BtoBサイト:リード獲得の最適化
BtoBサイトはWebサイト上で成約に至ることはほとんどなく、リード獲得(お問い合わせ)から商談に入り、成約に繋げるのが一般的です。
そのため、BtoBサイトにおいては各顧客ステータス(商談中や未成約など)でのユーザー行動を分析し、仮説を立てる必要があります。例えば、各ステータスでメールのパラメーターを変え、特定のパラメーターを経由したユーザーが閲覧したコンテンツを分析する、といった方法が考えられるでしょう。
ECサイト:売上向上のための分析
ECサイトでは、Googleアナリティクスにて売上・カート投入回数・商品の閲覧回数などの指標を確認し、さまざまな角度から分析を行うことが重要です。
特定の商品の売上を伸ばしたい場合は、「そもそも商品ページの閲覧回数が少ないのか」「商品ページは閲覧されてもカートに入れる回数が少ないのか」といった項目を確認し、どこに課題があるのか分析しましょう。ユーザーの購買行動や顧客の分析を行うことで、マーケティング施策の効果が可視化され、売上の向上に役立った施策のみを残せるようになります。
FAQサイト:ユーザーニーズの把握
FAQサイトはただ閲覧数を増やすだけでなく、ユーザーニーズとマッチした回答を掲載する必要があります。回答がユーザーのニーズとマッチしているか確認する際は「回答が役に立たない」「回答が役に立った」など、ユーザーからフィードバックを受けられるボタンを設置しましょう。
「回答が役に立たない」のクリック数が多く、閲覧数も多い回答を優先的に改善していくことで、よりユーザーのニーズとマッチしたFAQサイトを構築できるようになります。
リニューアルサイトの効果測定
リニューアルサイトの効果測定では、リニューアル前後の主要指標データ(コンバージョン率やセッション率など)を確認します。リニューアル前後のデータを比べることで、Webサイトの改善度合いを客観的に分析できるでしょう。
想定していた効果が得られていない場合は、Googleアナリティクスの「データ探索」→「テンプレートギャラリー」から「ユーザーエクスプローラー」を選択し、ユーザー行動の分析と課題点の洗い出しを行ってください。改善が必要なページを特定したら新たな強化策を導入し、効果測定を繰り返すことで、Webサイトをブラッシュアップできます。
Googleアナリティクスを使いこなすためのヒント
この章では、Googleアナリティクスをより効果的に活用するためのテクニックを紹介します。Webサイトの成果を上げるために役立ててください。
GA4の最新機能と活用方法
GA4は、機械学習による予測分析機能を搭載しています。特定の購入イベント(in_app_purchase/purchase/ecommerce_purchase)を実装してデータを蓄積すると、GA4によってオーディエンスリストが作成されます。主に、以下のユーザーの予測が可能です。
・7日以内に離脱する可能性が高い既存顧客
・7日以内に離脱する可能性が高いユーザー
・7日以内に購入する可能性が高い既存顧客
・7日以内に初回の購入を行う可能性が高いユーザー
・28日以内に利用額上位になると予測されるユーザー
上記の予測を活用することで、ユーザーに対して効果的なアプローチができるようになります。例えば、「7日以内に初回の購入を行う可能性が高いユーザー」に対しては「初回購入限定割引キャンペーンの広告を配信する」といった施策が考えられるでしょう。「7日以内に離脱する可能性が高い既存顧客」であれば、「既存顧客限定の特典配布の広告を配信する」などの対策で離脱を防げます。
有料版「Googleアナリティクス360」の活用方法
有料版「Googleアナリティクス360」には、無料版を上回る機能が搭載されています。例えば、無料版の場合は集計結果の反映まで24~48時間程度を要しますが、有料版は4時間以内での反映が可能です。よりリアルタイムに近いデータを収集するのに役立つでしょう。
他には、データ量が無制限、サポートを受けられるなどの利点もあります。「膨大なデータ分析が必要」「より高い制度の分析を取り入れたい」といった場合は、有料版がおすすめです。
Googleアナリティクスと他のツールとの連携
Googleアナリティクスは、GoogleサーチコンソールやGoogle広告などとの連携が可能です。
Googleサーチコンソールと連携した場合、サイト訪問前後のユーザーの状態を確認できます。例えばサーチコンソールのクリック数が増加している一方、コンバージョン率が低下しているのであれば、コンテンツ内容を改善する必要があると分析できるでしょう。
GoogleアナリティクスとGoogle広告を連携した場合は、アナリティクス側で広告の効果を確認できます。Google広告のスマート自動入札を利用する場合、Googleアナリティクスのデータを活用して入札単価の最適化を行ってくれるため、設定の手間を減らせるのも嬉しいポイントです。
まとめ
Googleアナリティクスは、Webサイトを分析するのに欠かせないツールです。各指標の内容を確認し、ユーザーを分析することで、より効果の高いWebサイトを構築できるようになります。「Webサイトを作成したけど、効果が出ているか分からない」「もっとマーケティング効果のあるWebサイトにしたい」といった方は、Googleアナリティクスを活用してみましょう。