ブランディングとマーケティングの違いと関係性~役割や目的、もたらす影響を比較

ブランディングとは

ブランディングはマーケティング用語の一つですが、ブランディングとマーケティングは何が違い、どのような関係性にあるのでしょうか。ブランディングもマーケティングも商品やサービスの売上の向上に関係するものです。

本記事では、ブランディングとマーケティングのそれぞれの意味や役割などについて比較していきます。

ブランディングとマーケティング

ブランディングとマーケティングは、次のように表すことができます。

  • ブランディング:商品やサービスに対して消費者に共通の認識をもってもらうための活動
  • マーケティング:商品やサービスが売れるための仕組みづくり全般を指す

マーケティングの方が広い意味がありますが、商品の売れ行きにブランディングは大きな影響を及ぼすため、バランスよく取り組んでいくことが必要です。

ブランディングとは

消費者から類似するものと識別されている商品やサービスをブランドと呼びます。商標や名称、ロゴマーク、デザイン、キャッチコピーなどがブランドを構成する要素にです。

ブランディングとは、ブランドを消費者に認識させて市場でのポジションを確立させるための活動です。また、ブランディングは「生チョコといえば○○」、「このマークといえば○○」といったように、消費者に共通した認識を浸透させるために行われます。

●関連記事:ブランディングの意味とは~目的・種類とブランディング力を上げる方法

マーケティングとは

マーケティングとは、消費者のニーズを把握したうえで、自社の商品やサービスに興味をもってもらい、売れる仕組みを作ることをいいます。マーケティングには、市場調査や市場分析、商品開発、流通、広告宣伝といった幅広いプロセスが含まれます。マーケティングは売れる仕組みをつくり、売上を拡大するための施策全般の総称です。

たとえば、企業が自社のチョコレートの売上を向上させるために、市場調査を行うことや、市場の分析にもとづいて消費者のニーズに合うように商品の改良を行うこと、また広告展開を図る動きといった一連の行動がマーケティング該当します。

ブランディングとマーケティングの違い

ブランディングもマーケティングも、商品やサービスを売れるモノにしていくことという部分では共通しています。しかし、目的や活動の範囲には違いがあります。

ブランディングは消費者に商品やサービス、あるいは企業に対して共通のイメージをもってもらい、他社との差別化を図ることをいいます。一方、マーケティングは、市場のニーズをとらえることであり、まだ商品化されていない商品やサービス、あるいは商品化されている商品やサービスが売れる仕組みを作っていくことです。マーケティングの範囲は広く、市場調査や市場分析から商品開発、流通、広告宣伝まで、トータルで戦略を考えていきます。

ブランディングはマーケティングの一部ともとらえられますが、ブランディングは商品の売れ行きを左右する重要なものであり、一方でブランディングを活かしていくのはマーケティングです。

ブランディングの役割

ブランディングの役割

ブランディングには、次に挙げる役割が期待されています。

  • 競合他社との差別化
  • 顧客ロイヤルティの向上による売上の安定
  • 広告に頼らない集客
  • プレミアム価格による利益の増加

ブランディングによって「○○といえば○○」という意識が消費者に浸透し、競合他社との差別化を図ることが可能です。また、消費者が商品やサービスに対して愛着をもつ顧客ロイヤルティが向上することにより、「今回も○○を買おう」という意識につながり、継続的な売上の安定が図れます

さらに、ブランディングによる顧客ロイヤルティや知名度の向上によって、広告に頼らない集客が実現できます。競合に対して割高なプレミアム価格での販売が可能となり、利益も増加するのです。

ブランディングの具体例

ブランディングを実施するときの具体的なステップは以下のとおりです。

  • 環境分析
  • ブランドアイデンティティ
  • 抽象的ブランドメディア
  • 可視的ブランドメディア

ブランディングを実施するときにまず行うべきことは、SWOT分析や3C分析といった環境分析です。ブランディングによって他社の商品やサービスとの差別化を図るためには、自社の強みや競合他社について分析を行うことが必要です。

次に、ブランドの根本的な価値観となるブランドアイデンティティを決めます。そして、ブランドアイデンティティを象徴するキャッチコピーやロゴマークといった、抽象的ブランドメディアを決定するのです。その後、抽象的ブランドメディアをもとに、テレビCMや雑誌、WEB広告などで広告展開を行っていきます。

マーケティングでもSWOT分析や3C分析といった環境分析が用いられることもあります。また、ブランディングのための広告展開はマーケティング戦略の一環という位置づけです。

ブランディングの目的

ブランディングの目的は、消費者が何か必要な商品やサービスがあるときに、真っ先に思い浮かべるモノになることです。

モノがあふれている現代において、消費者に「〇〇といえば○○」という意識を根付かせて、ブランドそのものに価値を感じさせることは、購入に結びつけるために重要です。

●関連記事:ブランディングにおけるフレームワークの活用~必要な分析と理論とは

ブランディングがもたらす影響

ブランディングによって商品やサービスの認知が向上し、顧客ロイヤルティも高まると、頻繁に広告を打たなくても購入されるようになるだけでなく、他社よりも高い価格でも売れる状態になり、利益が増加します。

また、ブランド力が高まれば取引先からの信頼性が向上し、取引を有利に進めやすくなります。さらに、ブランドの知名度向上によって、優秀な人材を確保しやすくなる効果も期待できます。

マーケティングの役割

マーケティングは、以下に挙げる役割をもたらすことへの期待から実施されています。

  • 消費者のニーズとのギャップの解消
  • 潜在顧客の獲得・育成
  • 価格戦略に依存しない優位性

マーケティングの一環として市場調査を行うことで、消費者が商品やサービスに対して求めているニーズを知り、自社が展開する商品やサービスとのギャップを埋めることができます。自社の商品やサービスにマッチする潜在顧客の存在に気づくことができれば、育成して購入に結びつけていくことも可能です。

また、消費者のニーズにマッチした価値のある商品やサービスを提供することで、価格戦略に頼らずに他社よりも優位性をもつことができます。

マーケティングの具体例

マーケティングの具体例

マーケティングは、以下のように市場調査や市場分析から商品企画、流通、広告宣伝までのすべてのプロセスで統合的に行っていく活動です。

  • 市場調査(マーケティング・リサーチ)・市場分析
  • 商品企画
  • 流通
  • 広告宣伝

マーケティングにおいては、まず、消費者に対するアンケート調査などの市場調査(マーケティング・リサーチ)や、ブランディングと同様にSWOT分析などの市場分析を行います。消費者のニーズを知るとともに、自社の強みや市場での立ち位置を知り、競合との差別化を図っていくためです。

次に、消費者のニーズをもとに商品の企画立案を行い、競合の動向やコストを踏まえて価格や流通チャネルを決定します。そして、広告や自社サイト、SNSなどで商品やサービスを認知してもらうためのプロモーション活動を行っていきます。

●関連記事:マーケティングの認知~ステップと購買行動のモデル、認知行動の主な例を紹介

マーケティングの目的

マーケティングは売れる仕組み、あるいは儲け続けられる仕組みをつくる目的で実施されています。マーケティングによって、売り込みをしなくても売れる状態を構築するのが理想的です。

マーケティングがもたらす影響

マーケティングによって、消費者のニーズに合った商品やサービスを展開し、市場優位性をもっていれば、売上の向上や利益の拡大を図れることが期待できます。

また、潜在顧客を獲得して顧客へと育てていくことで、購入までにかかる営業の人的リソースを減らして、コスト削減につながります。

まとめ

ブランディングによって消費者は商品やサービスに対して共通したイメージをもつようになり、マーケティングによって売れる仕組みが構築できます。マーケティング戦略を考えるうえで、ブランディングは売上の向上のために欠かせないものです。マーケティング戦略を考える際には、ブランドの構築も進めていきましょう。