コンテンツマーケティングとは~成功事例とメリット・デメリット、実践方法を紹介

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コンテンツマーケティングは、ここ数年注目されているマーケティング手法です。コンテンツマーケティングは従来のマーケティング手法と異なり、継続していくことでコンテンツが資産として蓄積するといったメリットがあります。

本記事では、コンテンツマーケティングとは何か、概要や成功事例などを紹介したうえで、実践方法を解説します。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは、ユーザーに有益なコンテンツを制作して提供することで、潜在顧客を自社のファンとして育てて、購買へ結びつけていくマーケティング手法をいいます。コンテンツマーケティングは、2000年頃にアメリカで登場し、日本でも2015年頃から浸透しました。

コンテンツマーケティングが注目されるようになった背景として、ユーザーが売り込み色の強い広告に対して反応を示さなくなったことが挙げられます。そこで企業側はユーザーが欲しい情報を載せたコンテンツを提供して、ユーザーと接点をもつようになったのです。

従来のマーケティング手法との違い

従来のマーケティング手法では、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の4マス広告をはじめ、ネット広告ではバナー広告など、不特定多数のユーザーに対して、強制的に広告を流して認知を促す「プッシュ型」の広告が主流でした。

しかし、消費者のライフスタイルの変化や価値観の多様化によって、企業が発信する情報と消費者が欲しい情報に違いが生じるようになりました。また、インターネットの普及によって、消費者は欲しいモノがあるときに、情報を自分で検索して探す時代になりました。そのため、従来のプッシュ型の広告は、費用対効果の悪いものとなってしまったのです。

そこで、特定のニーズをもったユーザーのみにアプローチをするプル型の広告戦略もとられるようになってきています。ネット広告では、検索連動型広告のリスティング広告やサーチワード広告がプル型の広告に該当します。また、コンテンツマーケティングもプル型のマーケティング戦略の一つです。

コンテンツマーケティングの成功事例

コンテンツマーケティングの成功事例

コンテンツマーケティングの成功事例として以下の例が挙げられます。

  • くらしの良品研究所
  • 土屋鞄製造所
  • SUUMOタウン/ジャーナル

3社とも広告色を感じさせない暮らしの情報を提供し、ストーリー性のある読み物をコンテンツとして配信していることやコンテンツの質にこだわっているという点で共通しています。また、コンテンツが独自の世界観で統一されていることで、ブランディングに成功しています。

●関連記事:ブランディングの成功事例を紹介~成功事例からわかるブランディングのポイントを解説

くらしの良品研究所

「くらしの良品研究所」は無印良品を運営する株式会社良品計画のオウンドメディアです。無印良品では、約7,000品目の衣料品や生活雑貨、食料品を展開。無印良品の店舗は国内だけでも2020年2月現在437店舗あり、31の国・地域に店舗を展開し、ネットストアも運営しています。

「くらしの良品研究所」には、「コラム」と「ユーザーとのモノづくり」の2本の柱があります。コラムは、「衣服」と「食品」、「生活雑貨」の3つの研究テーマや、地域の活動や人に焦点を当てたストーリーで地域の魅力を発信する「ローカルニッポン」といったカテゴリで構成されています。「感じよいくらしをリーゾナブルに」という目標をもとにつくられたコンテンツで、素材やライフスタイルへのこだわりが感じられ、無印良品のブランディングにつながっているのです。

「IDEA PARK」はユーザーの声をモノづくりに生かしていくために設置されました。「リクエスト」のコンテンツでは、ユーザーは「あったらいいな」と思う商品や改良して欲しい商品を投稿することができます。シリコンのトングやハケなどは、ユーザーからのリクエストによって実際に商品化されました。また、「リクエスト」のコメントを投稿するとMUJIマイルが付与され、貯めることでショッピングに利用できるポイントをもらえます。

「くらしの良品研究所」は無印良品のファンのエンゲージメントを向上させる効果を生んでいるといえます。

土屋鞄製造所

株式会社土屋鞄製造所は1965年にランドセルの製造からスタートし、現在ではECサイトと国内14店舗、海外2店舗で販売を行っています。厳選した皮を用いて、デザインや縫製、仕上げにこだわった職人によるモノづくりを行っているのが特徴です。

土屋鞄製造所は、2007年の時点では社員数10数人で2店舗を構えていたという規模から、2020年4月現在では従業員約650名で10数店舗を構える規模となり、大きな成長を遂げています。その原動力となったのがECサイトの急成長であり、コンテンツマーケティングの成功によるものです。

土屋鞄製造所の主力商品は5万円~10万円という価格帯であり、商品を検討してから購入までに数か月を要することもあるため、顧客と継続的な関係をもつことが鍵となります。自社サイト内の読み物のコンテンツを設けて、商品や皮に関する知識はもとより、職人やスタッフ、周辺の人々のストーリーを紹介することで、顧客をファン化する取り組みを行いました。また、コンテンツやカタログの制作を内製化することで、土屋鞄製造所の世界観をブレなく統一するというこだわりも、ブランディングの成功につながっています。

SUUMOタウン/ジャーナル

不動産・住宅の総合情報サイト「SUUMO」を運営する、リクルートグループの株式会社リクルート住まいカンパニーでは、「SUUMOタウン」や「SUUMOジャーナル」の運営を行っています。

「SUUMOタウン」は「街との出会いを作る」をコンセプトとしたオウンドメディアです。単なる街紹介ではなく、街に思い入れのあるライターが熱量を感じさせる記事を書くことで、街のリアルな空気感を伝えているメディアとして定評があります。また、「SUUMOタウンらしさ」が漂い、独特の世界観が感じられるのも特徴です。

「SUUMOジャーナル」は住宅を買ったり、借りたりするときに知っておきたい知識や街の情報、暮らしの知識などを提供するニュースサイトで、住まい探しに役立つ情報が満載されています。

「SUUMOタウン」や「SUUMOジャーナル」を通じて、「SUUMO」が身近な存在となり、住まい探しといえば「SUUMO」というブランディングに成功しているといえます。

コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングのメリット

コンテンツマーケティングのメリットとして、主に以下が挙げられます。

  • ロイヤリティの向上
  • コンテンツが資産になる
  • 低コストで始めやすい

コンテンツマーケティングはロイヤルティの向上が期待できることや、広告とは異なり、コンテンツが資産として蓄積されていくという、メリットがあります。また、コンテンツマーケティングは、ランニングコストを抑えて運用していくことも可能です。

ロイヤリティが高まりファンが増える

ロイヤリティとは、信頼や愛着という意味です。コンテンツマーケティングを通じて、有益な情報を提供し続けることで、「役立つ情報を提供してくれるので、信頼できるよい会社に違いない」とユーザーが感じて、ロイヤリティが高まっていくことがメリットです。

ロイヤリティが高まって自社のファンが増えていくと、他社との差別化が図れるようになるため、価格競争に巻き込まれずに、商品やサービスの購入につながるようになります。

コンテンツが資産になる

従来のマーケティング手法であるマス広告やWEB広告は、広告費用をかけても、放映期間や掲載期間、配信期間が終了すると価値を生まなくなります。

一方、コンテンツマーケティングは、一度配信したコンテンツがネット上に残って、資産になることがメリットです。有益な情報を提供するコンテンツであれば、ユーザーが閲覧することの積み重ねによって、サイトの評価が上がって、Googleなどの検索サイトで上位表示され、集客のツールになり続けます。

低コストで始めやすい

コンテンツマーケティングは低コストで始めやすいこともメリットに挙げられます。コンテンツマーケティングを始めるには、初期費用としてWordPressでのサイト制作費用などが50万円程度はかかります。コンテンツを外注する場合の月額費用は数万円から50万円以上まで幅があり、記事制作のみを委託するか、アクセス解析や戦略設計といった部分まで依頼するかといった委託範囲によって異なります。

一方、WEB広告の場合、たとえば検索エンジンの検索結果に連動して掲載されるリスティング広告は、初期費用は3万円~10万円程度ですが、月額費用として20万円~100万円を超える金額が必要です。

コンテンツマーケティングは一度WEBサイトをつくってしまえば、費用を抑えて運用することも可能です。

コンテンツマーケティングのデメリット

コンテンツマーケティングには大きなメリットがある一方で、以下のデメリットも挙げられます。

  • 効果をすぐに実感しにくい
  • コンテンツを発信し続ける必要がある
  • 運営に手間がかかる

コンテンツマーケティングは効果を実感できるまでには相応の期間が必要であり、質の高いコンテンツを発信し続けることが必要です。また、コンテンツマーケティングで成果を上げるには、配信以外にも運営の手間がかかります。

効果をすぐ実感しにくい

効果をすぐ実感しにくい

コンテンツマーケティングは、すぐに効果が表れにくい点がデメリットに挙げられます。商品やサービスに関連する有益な情報を発信してアクセスを集められたとしても、必ずしも商品やサービスの購入といったコンバージョンにつながるとはいえません。

また、どのくらいの期間運用したら、効果が実感できるか予測するのが難しい面があります。一般的にコンテンツマーケティングで成果を上げるには、最低でも3か月~半年以上の期間にわたって継続することが必要です。

コンテンツを発信し続ける必要がある

コンテンツマーケティングを成功させるためには、ユーザーにとって有益で良質なコンテンツを発信し続けなければなりません。ユーザーが求めている情報やトレンドを把握して、魅力的なコンテンツを配信していくことが大切です。

また、できるだけ高い頻度で更新を行うのが望ましく、毎日更新するのが理想的です。社内で頻繁にコンテンツを配信する体制をとるのが難しい場合には、外注することを検討してみましょう。

運営に手間がかかる

コンテンツマーケティングは、コンテンツを単に発信しているだけでは成果を上げるのは難しく、運営に手間がかかることもデメリットです。

目標を設定して効果測定を行い、アクセス解析をもとに課題を発見して、コンバージョンにつなげるためにサイトの改良を行うといった施策を継続的に行っていくことが必要です。

コンテンツマーケティングの実践方法

コンテンツマーケティングを実践するには、以下の作業が発生します。

  1. ペルソナを設定する
  2. カスタマージャーニーを作成する
  3. コンテンツの発信・運営
  4. 見込み客を顕在客へアップセル

準備段階として、ペルソナの設定とカスタマージャーニーの作成を行います。そして、コンテンツの発信など運営を行っていく段階では、アクセス解析を行い、改善策を実施して効果を上げていく施策を打つことが大切です。また、顧客のフェーズにあったコンテンツを提供することで、見込み客を顕在客へと育てていきます。

ペルソナを設定する

ペルソナとは、自社の商品やサービスを購入するターゲットとなるユーザー像のことです。ペルソナを設定することで、ペルソナに近いユーザーは自分のために用意されたコンテンツとして、身近に感じられるようになります。また、ペルソナとして人物像を具体的に描くことで、想定する見込み客の課題をイメージしやすくなり、思い込みによるコンテンツ制作を避けられます。

ペルソナには年齢や性別、家族構成、職業、収入のほか、趣味や嗜好などのライフスタイルを設定していきます。

カスタマージャーニーを作成する

カスタマージャーニーを作成する

引用元:Innova

カスタマージャーニーとは、顧客が商品やサービスを知ってから購入に至るまでの行動や思考、感情のプロセスを時系列で示したものをいいます。カスタマージャーニーを図にしたものは、カスタマージャーニーマップと呼ばれています。

ライフスタイルが多様化し、さまざまな情報を取得できるようになった現代では、ペルソナの設定だけでは、時系列でターゲットの行動プロセスをとらえるのが難しくなってきました。そこで、カスタマージャーニーを作成して、時系列でペルソナの動きを想定することが重要となっているのです。

カスタマージャーニーを作成するには、まずは購入やリピート購入、あるいは問い合わせといったゴールを設定します。そして、カスタマージャーニーに入れる項目を決めます。一般的に横軸には、「無関心」「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」といった購買プロセスを入れます。縦軸に入れるのは、ターゲットの「行動」や「感情」と、それに対する施策となる「チャネル」や「タッチポイント」です。そして、ペルソナに関する情報収集を行って、カスタマージャーニーを埋めていきます。

コンテンツの発信・運営

コンテンツの配信にあたっては、運営にあたる人的リソースを確保しておく必要があります。プロデューサーやディレクター、デザイナー、エンジニア、ライター・エディター、マーケターの役割を担う人が必要です。企業によっては複数の役割を兼任していたり、一部の業務を外注していたりします。

コンテンツを配信するサイトでは、コンテンツはカテゴリ分けをして、カテゴリに紐づく構造にします。そして、タイトル案を作成して詳細を詰めた後、記事内容のライティングを行い、コンテンツを発信していく流れです。

コンテンツの発信が始まったら、記事ごとにPV数やユニークユーザー数などの分析を行い、アクセス数が伸びるように、タイトル変更や記事内容の調整などの改善を行っていきます。

見込み客を顕在客へアップセル

見込み客とは、自分のニーズを認識していて、自社の商品やサービスの存在を知っている顧客です。顕在客は自社の商品やサービスに強い関心があり、きわめて購入に近い状態にある顧客をいいます。

コンテンツマーケティングでは顧客のフェーズに合わせたアプローチを行っていきます。見込み客を顕在客に育てていくには、オウンドメディアによる情報発信だけではなく、メールマガジンなども併用して、自社の商品やサービスに対する深い情報を提供して、価値を理解してもらうことが大切です。

まとめ

コンテンツマーケティングによってユーザーが自社の商品やサービスのファン化すれば、価格競争に巻き込まれることなく、継続的な購買につながることが期待できます。コンテンツマーケティングはすぐに効果が実感できないというデメリットがありますが、中長期的な視点に立つと非常に有効です。集客の施策としてコンテンツマーケティングを始めることを検討してみてはいかがでしょうか。

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